甲板にハッチと丸窓。
川岸に浮かぶ、一艇の喫茶店。
大阪ミナミの中心地、道頓堀川に面して佇む純喫茶「珈琲艇キャビン」。ビルは昭和10年ごろに建てられたレトロなデザインで、その名の通り、まるで船のような意匠が印象的です。道頓堀川の対岸から見るとデッキや丸窓が目を引いて、本当に川に浮いているの?と思えるほど。店内は赤の天鵞絨(ビロード)と曲線を生かした木のインテリアで、丸窓からは川面に揺れるキラキラとした光が差し込みます。船旅の合間にラウンジでゆっくりとくつろいでいるかのような、不思議な感覚にとらわれる空間です。アイコンとも言える丸窓は、造船業者から仕入れた本物の船窓なのだとか。
親子二代、受け継がれながらも
新しくなっていく味わい。
夫婦ではじめた珈琲艇キャビンは2020年で45周年を迎えました。看板メニューは、オリジナル珈琲。香り・苦み・酸味のバランスが絶妙で、「ここのでなくちゃ」と常連さんに愛されている味わいです。フードメニューも豊富で、人気のポパイサンドは、ピリ辛に炒めたほうれん草と、きのこオムレツの相性が抜群のひと皿です。ポパイサンドは娘さんがアレンジしたもので、そのほかにもチーズメニューやドルチェドリンクといった、若い女性に好まれるメニューも増やしていっているのだとか。そして、提供されるお皿は開店当時から大切に使い続けているもので、どれもおかあさんが選んだもの。1枚のトーストがパッと特別な装いになる器は、キャビンの内装と相まってSNSでも話題になっています。
珈琲艇キャビンのおかあさんと娘さんに
うかがいました。
お店をはじめたきっかけを教えてください
おかあさん:お店をはじめたきっかけは、よく聞かれるけれどありません。ただ、主人が喫茶店をやりたかったから。継続は力なりですね。
しつらえを“珈琲艇”としたのはどうしてですか
おかあさん:このビルはもともとこんなデザインで、しいて言えば、主人の“一目惚れ”かな。それとも“若気の至り”かな。でも、静かな落ち着いた時が流れるように、材質にはこだわりました。動かない船も、いいかも。みなさんにも合えばいいけど…私は好きです。このお店の空気と、時の流れ。
娘さん:お店の雰囲気を、若い女性にも「わぁ〜!」って喜んでもらえると、やっぱり嬉しいですね。
「アデリアのグラス」は、どんな印象ですか
娘さん:私は昔のアデリアの、ユニークでモダンなデザインが好きです。復刻版のアデリアレトロは、若い方が好きそうなデザインで可愛いですよね。グラスを追加する際はこれを使いたいです。
これからも復刻シリーズが増えることを楽しみにしています。
最後にメッセージをお願いします
おかあさん:お店をはじめてから50年。主人はおじいちゃん、私はおばあちゃん。お店は皆さんにどう映っているかしら。「ヘぇ〜」「ふ〜ん」「いいかも」…?皆さんのご来店をお待ちしています。
珈琲艇キャビン×アデリアレトロ、器の柄に合うドリンク
復刻版アデリアレトロのグラスに合う、お店の人気メニューを盛り付けて頂きました。
今回の訪問先
珈琲艇キャビン
- 営業時間
- 平日7:00〜18:00、土9:00〜18:00、
日祝12:00〜18:00
- 定休日
- 不定休
- 席数
- 36席
- 住所
- 大阪府大阪市西区南堀江1-4-10
- TEL
- 06-6535-5850