硝子食器のある暮らし

2019年9月20日

「Be Easy Brewing」クラフトビールを巡る旅

「Be Easy Brewing」クラフトビールを巡る旅

美味しいビールが飲みたい。できれば旅に出て、その土地で造られている美味しいクラフトビールが飲みたい。その美味しさの背景にある造り手の熱い想いまで知り、あますところなく味わい尽くしたい。今回はそんな想いから実現した「クラフトビールを巡る旅」をお伝えしたいと思います。醸造家のインタビュー、実際にクラフトビールを味わった感想など、内容は盛りだくさんとなっておりますので、是非ご覧ください。

 

青森のクラフトビール醸造所「Be Easy Brewing」

 

 


今回こころよく取材をOKしてくださったのは青森県弘前市に醸造所兼タップルームを構える「Be Easy Brewing」。1Fは醸造スペース、2Fはできたてのクラフトビールを提供するタップルーム「ギャレスのアジト」になっています。醸造所を立ち上げてわずか3年ですが、ここで造られるクラフトビールは日本各地の飲食店に出荷され、全国のクラフトビールファンの元に届けられています。また、2019年2月に行われた「ビアワングランプリ2019」ではダークエール部門で「レイズミルクスタウト」が銀賞に選ばれ、その実力は折り紙つきです。

笑顔が素敵なBe Easy Brewing代表ギャレス・バーンズさん(以下ギャレスさん)

 

ギャレスさんはアメリカ合衆国出身、2005年に米軍の爆弾処理班として三沢基地に配属された事がきっかけで青森に移住されたそうです。2007年に米軍を退役するも青森の魅力に取りつかれ、そのまま青森に定住。2016年には弘前市でギャレスさん自身が大好きなクラフトビールの工房「Be Easy Brewing」を始められました。

 

早速、クラフトビールについてお話を伺ってみたいと思います。

 

 

Q1:なぜ青森でクラフトビールを始めようと思ったのでしょうか。

 

「青森にやってきたのは本当に偶然だったんだよ。お祭りや工芸が魅力的で、自然も豊か、そして青森の人たちは本当に優しくて、いつの間にかこの地で暮らすことを決めていたんだ。クラフトビールは元々大好きだったんだけど、残念ながら当時青森にはクラフトビールを飲めるお店がまだなくて、あるとき『大好きなこの地で大好きなクラフトビールを広められたら良いな』と思い立ったんだ。」

 

 

Q2:クラフトビール造りで大切にされている事について教えてください。

 

「まず、どんな人が飲んでも素直に美味しいビールであることが大切だと思ってる。それを形にしたのが『青森エール』。苦味が少なくなるようにして、味わいや香りは豊かに仕上げる事で、クラフトビールを初めて飲む人でも『クラフトビールって美味しいんだ』と思ってもらえるビールを作ったんだ。入り口としてそんなビールがあることで、だんだんと味わいの濃いものや、特徴のあるものにも興味を持ってもらえるようになると思うんだよね。」

 

「もう一つ、私は大好きなクラフトビールを通じて、大好きな青森を伝えたいと思っているんだ。例えば、Be Easy Brewingは青森の方言をビールの名前に使っているものもあるんだけど、県外の人たちにとって青森の方言を使った名前じゃ意味が通じないよね。でもそこが良いと思っていて、飲んだビールが美味しかった事で、名前の意味を知りたくなって、青森に興味が繋がっていくんじゃないかと思ったんだ。みんなBe Easy Brewingのビールで青森弁を勉強してるんだよ。だから、私たちのビールは『とにかく本当に美味しいビール』でなくちゃいけない。みんな全力でビール造りに取り組んでるよ。」

 

 

Q3:これからクラフトビールでどんな事をやってみたいですか。

 

「醸造所を大きくしたり、レストランを増やしたり、実はビジネスを拡大させるような事に興味がないんだよね。好きなビールを好きなように造るのがクラフトビールだと思ってるから、儲からなきゃ続けられないんだけどお金が全てじゃない。いま一緒に働いてる仲間たちがより醸造しやすくなる為の設備は導入していきたいかな・・・。」

 

「あ、でもバレルエイジドビールはやってみたい!樽で熟成させる事で香りが変わるっていうのが魅力的なんだ。ラム酒の樽を試したら面白いんじゃないかな。たぶん商売にはならないだろうけど、実験として醸造してみれば、その経験は通常の醸造にも生かしていけると思う。面白いって言うのは簡単で、実際にやるのは本当に大変なんだけどね!」

 

 

インタビューを終えて

大変と言いながらも終始笑顔が絶えないギャレスさんが印象的なインタビューでした。ギャレスさんにとってクラフトビールは本当に大好きなものであり、これから10年でも20年でも永遠に探求し続けられるものなのだと感じました。いつかBe Easy Brewingのバレルエイジドビールが飲んでみたいですね。さて、そんなクラフトビール愛、青森愛に溢れるギャレスさんのビール、一体どんな味わいなのでしょうか。今回は特別に、ADERIAのクラフトビアグラスを使ってBe Easy Brewingのビールを頂きました。

 

「うだで」を「クラフトビアグラス(爽快)」で

まず一杯目に頂いたのは「うだで」。青森の方言で「うだで」は「だるい、気が重い」という意味があります。気が重いときに飲んで気が晴れるようなビールを目指したIPLで、ホップのトロピカルな風味と暑い日にぴったりの苦味が特徴。スカッとした気分になれる「うだで」には、のどごしを引き立てる「クラフトビアグラス(爽快)」を合わせてみました。乾いた喉にゴクゴクと勢い良く流れるビール、そしてホップの爽やかな香りも感じられ、旅の疲れも吹っ飛んでしまいました。

 

「たんげJuicy」には「クラフトビアグラス(芳醇)」を

二杯目に頂いたのは「たんげJuicy」。青森の方言で「たんげ」は「すごく、とても」という意味があります。その言葉通り、とってもジューシーなHazy IPA。エルドラド、ローラル、コメットという3種類のホップを贅沢に使用したフルーティーな味わいが特徴です。ジューシーさが魅力の「たんげJuicy」には味わい・香りを引き立てる「クラフトビアグラス(芳醇)」を合わせてみました。華やかで深みのある香りと、ジューシーな味わいに思わず「たんげウマい!」とつぶやいてしまいました。

 

「にぐにぐと」は「クラフトビアグラス(重厚)」で

三杯目に頂いたのは「にぐにぐと」。青森の方言で「ニコニコと」という意味があります。ライ麦のスパイシーさとカシミアホップ由来の桃とメロンのような風味が優しい味わいのRye Aleです。風味豊かな「にぐにぐと」にはコクを引き立てられる「クラフトビアグラス(重厚)」を合わせてみました。風味の豊かさの奥にあるコクが感じられ、思わず「にぐにぐと」してしまいました。

 

いやあ、どのビールも本当に美味しい!美味しいビールには美味しい料理が付きものですが、タップルーム「ギャレスのアジト」は料理も大評判だそうです。こちらもクラフトビールと同様にこだわりのポイントがあるのだとか。

 

自社畑で野菜を作り「ギャレスのアジト」の料理に使う

Be Easy Brewingは「ギャレスのアジト」で提供する料理に使う野菜を自社畑で作っているそうです。なぜ野菜作りまで取り組まれるようになったのか、ギャレスさんにお伺いしてみました。

 

「スーパーに並んでいる野菜を買うのが一番楽なんだよ。でも、他県から取り寄せられた野菜は運送や保管にコストや時間、エネルギーがたくさん使われているんだ。だったら、自分たちの手で野菜を作ろう。そうすれば採れたての野菜を使った料理が提供できるし、ビール醸造で出来てしまう絞りかすも肥料にできる。地球に負担のかからない形で、後悔の無いようにビール造りを続けていきたいんだよ。今では私たちのやり方を真似をするようなお店も出てきているんだけど、それが嬉しいんだよね。良い事はもっと広がってほしいんだ。」

 

ただ好きなビールを追求するだけでなく、青森の活性化や、地球環境に配慮した持続可能な活動。今回の読み物は、今までとは異色な企画になりましたが、クラフトビールの造り手の熱い想いを知ることができ、私たちもそんな造り手の想いに負けないようなグラスを作っていかなければならないなと刺激を受けた旅でした。これからもBe Easy Brewingから目が離せませんね!読者の皆様も、飲食店でBe Easy Brewingのビールを見かけた際や、青森県弘前市を旅する機会がありましたら、是非ギャレスさんのビールを飲んでみてください。

 

「ギャレスのアジト・Be Easy Brewing」の住所・営業時間

青森県弘前市松ケ枝5-7-9

TEL:0172-78-1222

平日:17時〜23時まで営業

休日:11時30分〜23時まで営業

定休日:月、火

 

 

またの更新をお楽しみに!